億ションという超豪華なマンションがある。これも実は住みやすい空間とは限らない。高いから住み心地がいいとは限らない。高額で売るのだから、なぜ高いのか、分かりやすいほうが売りやすい。そんなマンションにはドイツ製のシステムキッチンが装備されていたり、大理石が貼りめぐらされたりする。それだけのことである。住み心地のいい空間をつくるのは、高価なパーツや高価な材料を使えばよいというものではなくて、その組み合わせ方が問題なのだ。極端に言えばペンキ塗りの壁でも住み心地のいい空間はつくれる。日本人は、マンションを自動車と同じく、買い替えていく消費財だと考えているようだ。最初は軽自動車やオープンカーに乗り、ファミリーカーを手に入れる。そして一戸建ての住居を手にしたときには、「いつかはクラウン」が車庫の中におさまっているというわけだ。マンションは間に合わせの、その場しのぎであって、そのうち郊外に建つ一戸建てができるまで我慢する住居だと言わんばかりである。だからマンションは住みにくくてもしょうがない、しょせん、うさぎ小屋である、と。だが、マンション、つまり集合住宅は決して住みにくいものではない。きちんとつくればむしろ人間にとって自然で暮らしやすい空間になりうるのだ。
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