マーケットは、市場心理に影響されやすいのもまた事実だ。売り買いの思惑が一致すれば、本来の価値から逸脱して暴騰することもあれば、暴落することもある。かつてのバブル時代、高値で不動産を買ったために、痛い思いをした人が全国にどれだけいたかを、よく思い出してほしい。そういう気まぐれな市場心理に左右されずに、冷静にものごとを判断するには、どうすればいいのか。将来の街の経済力を予測し、需給を予測することがもっとも近道であり、それには超長期の時系列での価格推移を分析することが欠かせない。ただ、街の資産価値の格付けをする場合、検証すべきベンチマークをどこに置くかが非常に重要である。要するに、できるだけ変動の小さい数値を基準にすることが大切なのだ。たとえば、価格と賃料を比較すると、価格は10倍に跳ね上がることもあるし、10分の1に暴落することもある。ただし、賃料は、東京の住居系の場合せいぜい3倍(または3分の1)。だとすれば、賃料の推移を追ったほうが、予測精度は高まるはずだ。しかし、賃料を基準にするといっても、どんなタイプの賃料をベースにするかも大きな問題だ。結論からいえば、街の格付けに必要な都市文明のポテンシャリティを検証するには、ファミリータイプのマンション賃料を基準とすべきと考えている。なぜなら、優れた街には「子供のいる家族が都市文明のメリットを最大限に享受して安心して暮らせる」状態がベースとして維持されていなければならないからだ。そうでなければ、人口や世帯数も安定しないし、世代間の新陳代謝も生まれないし、スーパーや商店街なども栄えない。結果的に街が衰退し、不動産の価値も維持されないからだ。当たり前の話だが、シングル層は子育てをする必要がない。だから公立小学校のレベルに関心がない。商店街も要らない。施設の整った産婦人科病院や小児科病院も要らない。極論すれば職場とコンビニさえあればよい。
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