日本の確定している歴史はせいぜい二千年しかない。このなかで、千年という歴史をもつということは並大抵のことではないだろう。千年建築という話をすると、多くの人は鉄筋コンクリートだって五十年も危ないし、木造では、二十年しかもたないではないか、千年より前に百年を目指すべきではないかと多くの意見がある。一方、先端的な高度治療を要する病院にいたっては、三十年で十分だという意見も多い。そうすると、われわれの二十一世紀の建築資産を次世代には残せないことになる。人類の平和を守る象徴として世界遺産に指定された広島の原爆ドームは是非残したい。二十世紀の全般におこなわれた使い捨てと、エネルギーの無駄遣いの汚名だけを後世に残したくないものだ。イタリア南部にあるアルベロペッロの住宅が気に入った。この建物は、すでに五百年程度もちこたえているが、それ以上の古い建物はない。しかし、よく調べると、いまの建物のなかに古い部材が再利用されているのだ。リサイクルされる石灰岩そのものは壊れているわけではない。つぎにつくる家の部材として使うことは何ら問題がないのだ。また、シリンダー形状の家は強いことを教えてくれた。客家(同)もローマの古い講堂もインドネシアのボロブドゥールの建物も壁はいずれもシリンダー構造をしている。シリンダー構造の家といってもピンとこないかもしれないが、オランダの風車の建物を連想すればよい。
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